赤い靴

2007年5月24日
某所のこじゃれた店で飲んでいたら、隣に見覚えのある顔が。
売れっ子の若手作家さんだった。編集者らしき人たちに囲まれてちやほやされながら食事をしていた。
しばらくは物珍しさからチラチラと覗き見てたんだけど、なんだか途中でいたたまれなくなってしまった。

どう説明したらいいのかよくわからないけれど、すんごいちやほやされているのだ。その作家さんは学生時代に作家としてデビューして、そのままずっと売れているわけで。ず〜っとこうしてちやほやされてきて、この世界しか知らないんだというのが、想像するだけでわたしにとっては恐ろしい世界だった。
きっと、生きていくことは平均台を歩くようにすごくこわい世界なんじゃないだろうか。

売れているうちはいい。でもこの先も売れ続けなければならない。これは別に作家さんに限らずそうなんだけど、一度頑張りはじめてしまったら、ずっと頑張り続けないといけないという「赤い靴」みたいな恐ろしいルールが今の社会には存在しているような気がして。
そうそうにそのつらさに気づいて、そこを降りてしまう人が下流社会とかニートとか呼ばれてるような気がする。読んでないから推測だけど。そしてもっと賢いやり方をしている人もいると思うんだけど。

ひとつが良かったら、次はもっといいものを出さなければならない。特に作家は、自分ひとりでそれを引き受けなければならない。もともと表現者というのは、自分と、自分を取り巻く世界に、違和感を感じて、それを埋めようとして表現を選ぶという人が圧倒的に多いとわたしは思っているんだけれども。最初はそれでよくても、次はそのあやうい均衡を保ち続けなければならない。もはやそれが正しいのかそうでないのかでなくて、保ち続けなければならない。
「満たされないこと」を仕事に選んでしまうということなんだ。きっと。
で、年若い彼女を取り巻く編集者たちというのは彼女にそれを気づかせないようにしている気がして。余計なお世話ですが。

もちろんそこから降りても別にいくらでもやりようはあるんだけど、でもリセットするっていうのはすごく勇気がいるよね。

うう〜ん。自分のまわりにも表現で仕事をしている人たちというのはいて、それでいろいろと考えさせられたのですが、支離滅裂になってきたのでまたこんど。

カラスヤサトシを読んで寝よう。

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