年下のアーティストの子と話をしていて、そのこがあまりにも無知というか、幼いんだということに気づいてびっくりした。という出来事があった。たいしたことじゃないんだけどね。

「若い=無知」ではない。「若い=経験値が低い」だ。でも経験値というのは、「経験×それに対してどれだけ考えたか」だから若くしてわたしよりずっと頭のいい子も大勢いる。
ただ、人が一度に感知をできる範囲つーのも限られているので、例えばAというものごとについてわたしが良く知っていても、Bというものごとにについてはわたしはなんにも知らなかったりするから、そこはなんともいえないね。
まぁ目上の人への敬意は大事だよね。
だって、たかが年をとっているだけったって、それはどんなに頑張っても追い越せないんだからさ。

えーと、こんな話がしたいんじゃなかった。
そのー。冒頭で話した年下のアーティストの子というのはまだ全然有名ではなくてて、これからのひとだと思う。
でもその子の作品を見ると、わたしは感動で震える。
ものすごくいいんだ。

それにもかかわらず。
その子は、わたしが知っていること(それはたぶんおおきくくくってしまえば常識とかそういうこと)を全く知らないんだーということが、すごくびっくりだった。
まだおっかなびっくり生きているんだーということに驚いた。

彼女がわたしのツボを全て心得ているから、彼女に見透かされているのかもしれないと思っていたのに、そうではなかった。

その子は別に、そんなことを意識しないで、そんなことをどっか違う次元で飛び越えて作品を作っているんですね。

そう。アーティストというのは、とぶひとたちなんだなぁと思った。
着地点があるかどうかもわからないのに。
とりあえず、どこかに、飛んでしまう。

わたしは、階段を登ろうとする人間だった。
だって、フツーこわくて飛べないよ?

わたしは、どこにハシゴをかけていいのかもわからず、右往左往して、階段を探していた。
誰かにはしごの位置を教えてもらったりしながら、年をとったと思う。
誰もわたしに「飛べ」とは言わなかった。(いや、言われた気もするけど、わすれてしまった)

わたしも年下の人に「飛べ」とは言えないだろう。
そして、若い頃に戻ったとしても自分に「飛べ」とは言えないかもしれない。

でもどうしても「飛ぶひと」に憧れるんだよね。

どんな景色が見えるんだろう。
どこに着地するんだろう(あるいはしないんだろう)。

「はぁ、これはわたしはアーティストにはなれないわけだ」と思うと同時に、なんだか蜃気楼を見たような気持ちになりました。

ISBN:4101018138 文庫 山田 太一 新潮社 1988/11 ¥460

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